あなたは人生の目標を持っていますか?また、転職する時に企業のビジョンを重視していますか?
念のため確認しますが、「お金を稼ぐこと」は目標(ビジョン)ではありません。
「お金を稼ぐこと」は、あなたが働く上での大前提であり、企業を経営する上での大前提になります。
目標(ビジョン)とは、お金を稼ぐことを大前提としつつも、それ以上に重視し、目指していることを言います。
目標とビジョンはほぼ同じ意味ですが、ここでは個人のものを目標、企業のものをビジョンと表現します。
目標(ビジョン)とは何かがわかったところで、あなたに質問します。
あなたは働く上で、また転職する上で、目標とキャリアプランを重視していますか?
20代の時から、自分の目標とキャリアプラン、さらにキャリアの適性をしっかり考えて転職しないと、希望する企業に採用してもらえなかったり、やりがいのある仕事ができないことがあります。
20代で希望の企業に転職し、さらにやりがいのある仕事をするには、どうすれば良いのでしょうか?
まずは、ゴールデンサークルという概念を理解し、さらに企業のビジョンとあなたのキャリア(スキル)への需要の関係を理解する必要があります。
ビジョンがある企業とビジョンがない企業がある
まずは、下の図を見てください。
この図は、サイモン・シネック氏著「WHYから始めよ!」で考案したゴールデンサークルという概念です。
(映画のゴールデン・サークルではないです。サイモン氏の有名な動画がこちらです)
企業としての「Why・How・What」が左側、あなたの「Why・How・What」が右側になります。
企業側があなたのことを欲しい人材だと思い、さらにあなたが「この企業で働きたい」と思う。
つまり、雇用側である企業も、被雇用者であるあなたも納得度を高くするためには、双方のビジョン(指向性)とキャリア(適性)を一致させる必要があるのです。
ただ、全ての企業が本当の意味でのビジョンを持っているとは限りません。
もちろん、表向きにはどの企業も立派なビジョンを掲げています。でも、本音からのビジョンではなく、建前上のビジョンしかない企業もあるのです。
建前上のビジョンしかない企業は、表向きには立派なビジョンを掲げつつも、実際は利益を出すことに重きを置いています。
企業は利益を出して成り立つ物ですから、利益を追求したいと思うのは当たり前のことです。
でも、本当のビジョンを持っている企業は、「ビジョンの実現>>>利益の追求」で取り組んでいます。
例えば、次のようなビジョンを打ち出し、それを実現するために本気で取り組んでいるような企業ですね。
・地球環境を守るための努力をし、地球や社会と共存できる商品を提供し続ける
・地域社会と共に歩み、共に繁栄する
・今までにない独創的な発想で新しい文化や生活を創造する
それに対し、本当の意味でのビジョンを持っていない企業、つまり建前上のビジョンしかない企業は「利益の追求のみ」となっているのです。
本当の意味でのビジョンを持っていない企業は、採用する時にはあなたの目標は重視しません。キャリアの適性やスキルだけを重視します。つまり、そのキャリアの適性やスキルを使って自分の会社で大きな利益が出せるかだけを重視します。
企業がビジョンを持っていないのですから、被雇用者の目標なんて気にしないのです。
面接であなたがいくら「御社のビジョンに共感しました!」とアピールし、ビジョンに共感したことを評価してほしいと思っても、採用担当者は右から左へと聞き流すだけになります。
かといってもし、面接で採用担当者からあなたの目標についての質問がなかった場合、その企業はあなたの目標に興味がない、つまりその企業は本当のビジョンを持っていないととは限りません。
一般的に、企業の採用試験では面接よりも適性検査を重視するのが一般的です。
本当のビジョンを持っている企業は適性検査の時点で、自社のビジョンにあなたが適した人材かを、つまり自社のビジョンを実現するのにあなたのキャリアプランが適しているかを確認します。
そして、あなたのキャリアやスキルは、あなたが自分の目標(ビジョン)を実現するために身につけているものと企業側は考えます。
つまり、あなたのキャリアプランをチェックすることで、企業のビジョンとあなたの目標が一致するかをチェックしているから、面接でわざわざ目標についての質問をしないというケースもあるのです。
20代のあなたに目標はあるか?キャリアプランを達成することが目的になっていないか?
最初に紹介したゴールデンサークルの概念を考える時に、企業側のビジョンだけでなく、あなたの目標も重要になります。
あなたは仕事において、明確な目標を持っていますか?面接で堂々とアピールできるビジョンを持っているでしょうか?
20代からハッキリとした目標を持っている人なんていないと思うかもしれません。でも、転職に成功するためには20代のときから明確な目標を持っておかないといけないのです。
確かに、社会に出たばかりの20代の人の中には、明確な目標(人生の目的)を持っていない人も少なくありません。こういうタイプの人は、20代で転職する目的がキャリアを積むこと、つまりキャリアプランの達成になっていることが多いです。
キャリアを積むこと、キャリアプランを達成することが転職の目的になると、人生の目標は無くただ、「お金を稼ぎたい」、「お金持ちになりたい」というだけになりますね。
お金持ちになりたいのは、悪いことではありません。むしろ、みんなが思っていることですので、そのような目標を掲げるのは当然のことです。
ただ、もう一歩前に進んで、明確な人生の目標を持っておきましょう。
・周囲の人が笑顔で過ごせるようにしたい
・孤独を感じる人をなくしたい
・ほかの人の人生観が変わるようなものを作りたい
このような人生の目標を立てて、それを達成したいという欲求は、有名なマズローの欲求の6段階目に当たります。
マズローと言えば、欲求の5段階が有名ですが、実は6段階目も存在するのです。
そして、その6段階目が「自己超越の欲求」であり、生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認・尊重の欲求、自己実現の欲求という5つの欲求が満たされた後に、この自己超越の欲求を満たそうとします。
自己超越の欲求とは、コミュニティ発展の欲求、つまり街や世界平和を求めるような自分のためではなく、他人のための欲求です。
まさに、先ほど例に挙げたような人生の目標と言って良いでしょう。
マズローの欲求の6段階目である自己超越の欲求=人生の目標を20代から立てておくと、人生が豊かになり、充実したものになることは間違いありません。
そして、20代の時から、こういった人生の目標を持っている人は、この目標を実現するための手段としてキャリアを捉え、実現するためのキャリアプランを具体的に考えるようになります。
キャリアプランを達成することを目標としているか、目標を実現するための手段としてキャリアプランを立てているかで、転職に成功できるかどうかは、大きく違ってきます。
20代で転職を成功させるためには、目標を持ち、キャリアやキャリアプランはビジョンを実現するためものとして考えていく必要があります。
ビジョンと目標が一致しても適性にすれ違いが起こる3つのケース
あなたが目標を持ち、その目標を実現するための手段としてキャリアやキャリアプランを捉えている場合、転職に成功する確率は高くなります。
ただ、20代の時から明確な目標を持ち、キャリアやキャリアプランを手段として捉えていても、必ずしもあなたが希望する企業には転職できるとは限りません。
なぜなら、そこにはすれ違いが生じる可能性があるからです。
以下の図は、キャリアをわかりやすくするためにスキルとした場合、そのスキルへの企業からの需要とあなたの企業のビジョンへの共感度を2軸化したものが下の図になります。
ここでの企業は、建前のビジョンではなく、本当のビジョンを持っているものとして考えてください。
転職する上で、一番大切なことは、あなたの目標(ビジョン)と企業のビジョンが一致していることです。つまり、ビジョン(目標)の共感度が高いことです。
ビジョン(目標)の共感度が高い企業だと、採用されやすいですし、やりがいのある仕事をすることができます。
先ほどのゴールデンサークルの図で説明すると、企業はビジョンの共感度が高いあなたを、企業側のWhat(従業員)に組み込みやすくなります。
そして、企業のWhat(従業員)に組み込まれたあなたは、あなたの持っているキャリアや今後のキャリアプランに沿って身につけるキャリアの適性を企業のビジョンを実現するために使おうと頑張るはずです。
そのため、企業とあなたのビジョン(目標)の共感度が高いと、あなたのキャリアやキャリアプランの適性も高くなるはずです。
先ほどの2軸化した図で言うと、A社があなたにとってのベストの企業ということができます。ビジョンの共感度が比較的高いですよね。
でも、「B社の方が共感度が高いから、A社よりもB社のほうが適しているのでは?」と思うかもしれません。
確かに、B社の方がビジョン(目標)への共感度は高いです。でも、あなたのスキルへの需要が低いという決定的なマイナスポイントがあります。
これが、先ほどの「すれ違い」を生むことになるのです。
ビジョン(目標)は共感していても、あなたのキャリア(スキル)やキャリアプランがその企業で活かすことができないなら、それはあなたにとってベストの企業とは言えません。
すれ違いが起こる3つのケース
1.面接時に目標実現には向いていないことが発覚
あなた自身は、自分の目標(ビジョン)を実現するためにキャリアを積んできたし、今後のキャリアプランも具体的に立てていると思っていても、実は間違った方向のキャリア・キャリアプランで、面接時にビジョン実現には向いていないことが発覚した。
<具体例>
周囲の人が笑顔で過ごせるようにしたいという目標(ビジョン)を持ち、笑顔になれる商品を売ろうと営業職としてのキャリアを積んできた。
でも、よりたくさんの人を笑顔にするためには、営業職よりも企画・マーケティング職の方が向いているのでは?と面接で指摘されてしまった。
2.あなたのキャリアを活かせない部署に配属になる
面接時に企業の採用担当者が適性判断を誤り、適材適所ができておらず、あなたのキャリアを活かせないし、キャリアプランを達成できない部署に配属になる。
<具体例>
自分の目標は「ほかの人の人生観が変わるようなものを作りたい」というものだったので、「今までにない独創的な発想で新しい文化や生活を創造する」というビジョンを掲げる企業の採用試験を受けた。
自分は人生観が変わるような独創的なもの作るために、SEとしてのキャリアを積んできたし、これからのSEとしてのキャリアプランを立てていた。
SEとしてシステム開発やプログラムの設計だけでなく、クライアントへのプレゼンのために必要なコミュニケーションスキルも磨いてきた。
適性検査や面接で、どうやらコミュニケーションスキルばかりを評価されたようで、SEとしてではなく、SE経験を活かしながら営業として頑張ってほしいと言われた。
3.面接時に実は共感度は低いことが発覚
共感度が高いと思っていたあなたと企業のビジョン(目標)は、気づかない部分でズレが生じていて、面接時に実は共感度は低いことが発覚した。
<具体例>
自分の目標は「周囲の人が笑顔で過ごせるようにしたい」というものだったので、「地域社会と共に歩み、共に繁栄する」というビジョンを掲げる企業に共感し、ぜひこの企業で働きたいと思い、採用試験を受けた。
でも、面接で詳しい話を聞いていく中で、企業のビジョンは地域の企業と共に町おこしをしていくというもので、地域住民は置いてけぼりであるという印象を受けた。
自分の目標は企業単位ではなく、自分の周囲にいてくれる人、家族、友人など地域住民を重視して笑顔で過ごせるようにしたいというものなので、ビジョンのズレを感じた。
あなたの目標やキャリアプランの内容、採用担当者の判断方法を疑ってみる
ビジョン(目標)は共感していて、キャリアやキャリアプランは目標を実現するための手段であると捉えているのに、すれ違いが生じてしまうのは、この3つのいずれかに当てはまっていると言えます。
ただ、2つ目のケースは、採用担当者は適性判断のプロであることが多いので、これが原因ですれ違いが起こるのはごく稀だと思います。
すれ違いを避けて、あなたにとってベストの企業に転職するためには、「ビジョン(目標)に共感できる」というだけで、転職先を選んではいけません。
ビジョン(目標)に共感できるのは大前提として、その上であなたの目標(ビジョン)やキャリアプランの内容、採用担当者の判断方法を疑ってみましょう。
そうすれば、すれ違いを避けて、ビジョンに共感でき、さらにやりがいのある職場で働くことができるでしょう。
このすれ違いを避けるための方法は、現在の仕事を見直す上でも、転職する基準を考える上でも有効な方法であることは間違いありません。
適性にすれ違いが起こってしまった時パターン別の対処法
適性にすれ違いが起こらないように注意して、転職先を選ばなくてはいけません。それでも、先ほど紹介した3つのパターンで不幸にもすれ違いが起こってしまうことはあります。
すれ違いが起こってしまった時には、きちんと対処しないと、あなたの目標を実現することはできませんし、キャリアを活かすこともできません。
せっかくのキャリアプランも台無しです。
すれ違いが起こった時の対処法を3つのパターン別に説明していきます。
間違った方向のキャリアを積んでいたら、正しいキャリアを積めるところに転職
あなた自身が、自分の目標を実現するためにキャリアを積んできたと思っていても、実は間違った方向のキャリアを積んでいて、目標の実現ができないという場合は、20代の今のうちに正しいキャリアを積めるところ、キャリアプランを達成できるところに転職しましょう。
まずは、もう一度あなたの目標を見直して、本当にあなたはその目標を実現したいのかを自問自答します。
そして、そのビジョンを実現するためのキャリアは何か、キャリアプランはどうすれば良いのかをきちんと把握しておく必要があります。
この時に、間違ったキャリアではなく、正しいキャリアは何かを把握しないと、また同じすれ違いを生むので、気を付けてください。
そして、とりあえずはそのキャリアを積めるところ、キャリアプランを達成できるところに転職してください。この時点での転職は、未経験なわけですから給料は安くても妥協するしかありません。
また、本当のビジョンを持っていない企業を選んでもOKです。
今回の転職は、あなたの目標を実現することではなく、キャリアを積むことですから、ビジョン(目標)は重視する必要はありません。
そして、一定のキャリアを積んだら、本当のビジョンを持っていて、ビジョンに共感できる企業に転職するのです。
この対処法は転職回数は多くなりますが、「キャリアを積み、目標を実現する」という前向きな転職ですし、同業種同職種の転職ですので、それほど心配しなくて大丈夫です。
転職サイトと転職エージェントをフル活用!
このパターンでの対処法は、2回の転職を行う必要があります。最初の転職は、本当のビジョンを持っていない企業を選んでもOKなので転職サイトに登録して、正しキャリアを積める企業の求人を探してください。
そして、2度目のビジョン(目標)に共感できる企業に転職する時には、転職エージェントに依頼してください。
転職エージェントを頼れば、あなたの目標と一致するようなビジョンを持つ企業、しかもあなたのキャリアを活かせて、キャリアプランを達成できる部署に配属してくれるような企業を紹介してもらえます。
2回の転職をできれば20代のうちに行っておいたほうが、より良い転職先を選ぶことができますから、時間のロスなくスムーズに転職するためにも、転職サイトと転職エージェントをフル活用することをおすすめします。
採用担当者が適性判断を誤ったら、内定を断って探し直す
企業の採用担当者が適性判断を誤って、適材適所ができないことで、あなたのキャリアを活かせない部署に配属になるというすれ違いが起こったら、その企業に入社してはいけません。
その部署ではキャリアを活かせないとわかった時点で、内定を辞退してください。そして、きちんと適性判断をしてくれる企業を探し直してください。
転職エージェントなら適性判断を正しくしてくれる企業を紹介してくれる
このパターンでのすれ違いに対処するためには、正しく適性判断をしてくれる企業に転職する必要があります。
転職エージェントに依頼すれば、簡単に正しく適性判断をしてくれる企業を紹介してもらえます。
あなたと企業のビジョン(目標)にズレがあった場合は、目標を研究して探し直す
共感度が高いと思っていたあなたと企業のビジョン(目標)は、気づかない部分でズレが生じていて、実は共感度は低かったというすれ違いが起こったら、目標の研究をしましょう。
すれ違いをなくすためには、まずはあなたのビジョンを見つめ直し、深堀りして、あなたのビジョンをより明確に具体化するようにしましょう。
次に、企業のビジョンについて同様です。企業のビジョンを研究して、理解を深める必要があります。
その上で、本当にビジョン(目標)に共感できる企業をピックアップするのです。そうすれば、ビジョン(目標)のミスマッチは起こらず、本当に共感度が高いビジョンの企業に転職することができます。
転職エージェントならビジョン(目標)の深堀りを手伝ってくれる
あなたと企業のビジョン(目標)にズレが生じていた場合、ビジョン(目標)の研究・深堀りが重要になります。
ビジョン(目標)を研究・深堀りをするためには、あなたの目標を客観視する必要があります。自分で自分の目標を客観視するのは難しいですよね。
また、企業とビジョン(目標)のズレに気づいた場合、20代の若さだと自分の目標はおかしいのではないか?企業のビジョンが正しくて、自分の目標が間違っているのではないかと不安になることもあると思います。
そういう時に転職エージェントを頼ると、あなたの目標を客観視して、研究・深掘りを手伝ってくれますし、客観的な視点で目標についてアドバイスしてくれますので、転職がうまくいくのです。
さらに、企業のビジョンも深掘りしてくれますから、ビジョン(目標)のミスマッチを避け、20代のうちにビジョンの共感度が本当に高い企業へ転職することができます。
執筆者情報
- 天職エージェントは、厚生労働大臣から転職サポート(有料職業紹介事業)の許可を受けた(許可番号13-ユ-314851)株式会社ドリームウェイが運営するメディアです。転職サポートの経験を活かし、定期的なリライトや専門書を用いたファクトチェックなど、ユーザーに正確な最新情報を届けられるよう努めています。
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