終身雇用制度が崩壊しつつある日本。
現代社会では、多くの社会人が複数回の転職を経験しています。
この傾向は幅広く様々な職種において見られるものであって、看護職もまた然りです。
転職という言葉が持っていた否定的なイメージも解消されてきており、転職というものに前向きな意味合いを感じ取る人も多くなってきました。
しかしながら、新人が転職をするとなると話が別になってきてしまいます。
転職をする新人に対して、「忍耐力のない人」「きっとどこでも続かない人」といった否定的感情を抱いてしまう人は少なからずいるでしょう。
厳しい看護の現場で働く人であれば、新人のうちに転職という言葉が頭を過ってしまった人は少なくはないはずです。
しかし、そのうちの多くの看護師は、新人の転職という行為が持つマイナスイメージに転職したい気持ちを押し潰されてしまい、結局そのまま仕事を続けていっているのでしょう。
新人看護師のあなた。マイナスイメージに振り回されるのは危険です。
転職を我慢したからといって、数年後には幸せな未来が待っているという保証はありません。
より難しい状況に陥ってしまう可能性だってあるんですよ。
結論から言ってしまえば、新人看護師だって転職していいんです!
ここでは新人看護師でも転職をしても良い3つの理由を紹介します。
「新人なのに転職なんて・・」という気持ちを「新人だからこそ今転職を!」という発想に切り替えて、あなたのこれからの看護師人生をよりハッピーなものにしていきましょう!
目次
理由その1☆軌道修正したいのであれば早い方が良いし、1年目ならそれが可能!
看護の基礎づくりは最適な場所で
看護師の仕事というものは、一朝一夕に身につくものではありませんよね。
新人看護師とは、言ってみれば「見習い」です。
今後の戦力となっていくために、先輩の姿を見ながら一つずつ業務を覚えていきます。
つまり、まだ何色にも染まっていない真っ白なあなたを、これからその職場がその職場の色に染めていくのです。
あなたの基礎に塗り固められるその色は、そのままあなたの看護の基礎となります。
一度染まったその色は、後から別の色に染め直そうとしたところで、なかなか思うような綺麗な色には変化してくれません。
不本意な色に染まってしまう前に、つまり新人のうちに、環境を変えたいのであれば変えてしまった方が、後の苦労は少なくてすむと言えるでしょう。
新人のうちは身軽で動きやすい
「まだ新人だから・・。」と我慢をしながら働いているうちに、転職のタイミングが掴めなくなることもよくあります。
2年3年と働けば、プリセプターや各種委員会などの業務を任されることになります。
そうなると、新人の頃に比べると離職へのハードルが高くなってしまうんですね。
「不満」に慣れてしまうというリスク
不満ながらも仕事を続けていくうちに環境に慣れてしまって、新しい環境に飛び込んでいくことに強い不安を感じるようになってしまった、という人も多くいます。
不満を持っている環境に慣れてしまうというのは、少し悲しい気がしませんか?
結論
まだ思考に柔軟性がありフットワークも軽いうちに、人生の軌道修正をしたいのであればする!それが賢明な方法ではないでしょうか。
理由その2☆教育を0から受けたい第二新卒を受け入れる病院が多い!
第二新卒の看護師は求められるべき人材
理由その1でも触れましたが、新人のあなたは、まだ真っ白で何色にも染まっていません。
つまり、どんな色にでも対応できる柔軟性を持っているということです。
第二新卒という言葉が定着してきている現状を見ていてもわかるように、経験の浅い看護師を「柔軟性がある」というメリットから積極的に採用している病院はたくさんあります。
慢性的な看護師不足に悩んでいる日本においては、第二新卒はむしろ歓迎されるべき存在でもあるのです。
看護師2年目や3年目よりも歓迎される
新人看護師の教育には時間がかかります。
その数年の教育期間、病院は新人のあなたに投資という形で学ぶ場所を提供しているわけですよね。
そんな新人が教育を受けるだけ受けておいて、その後自立できる時になって退職・・となってしまっては、病院としては一体何のために今まで投資してきたんだ!という気持ちになってしまいますよね。
つまりあなたは、教育の恩恵だけ受けてお返しをしない裏切り者、ということになってしまいます。
それは今まで教育をしてきた現職場へ悪い印象を与えるだけでなく、転職先の採用者にとっても同じことです。
2年目3年目の転職者に対して、「迷惑をかけた人」というイメージを抱く採用担当者は少なくはないと思います。
そういった意味では、全職場を早々と切り上げてきた一年目の新人看護師の方が、周りへの影響を考えられる賢い人として認識されると言って良いでしょう。
丁寧な教育を受けることが可能
第二新卒を積極的に受け入れている職場であれば、転職後にはきちんとした教育制度のもとで仕事を学んでいくことができます。
新卒同様の丁寧な指導をしてくれる職場も多いでしょう。
つまりあなたはまだ、「新人」という言葉に甘えながら仕事を覚えていくことができるのです。
経験に期待されないのでプレッシャーは少ない
中堅看護師の転職でキャリア採用となると、状況はそんなに甘くはありません。
すぐに即戦力として期待されてしまいますから、プレッシャーは新人看護師の転職に比べると大きくなってくると言ってよいでしょう。
結論
経験の浅さを柔軟性の良さという利点に変えて転職活動ができるのは新人のうちだけです。
第二新卒採用枠を掴めるのも今の時期だけ。新人の転職は悪くないと思いませんか?
理由その3☆一般職と違い、新人の間の転職が看護師のキャリアに支障をきたす事はない!
看護師のキャリアは転職によって途切れるものではない
新人看護師の転職において不安材料になってしまう事の一つに、「今後のキャリアに傷が付く」ということが挙げられるでしょう。
果たして本当にそうでしょうか?
看護職は様々な面においてその他の職業とは異なる部分がありますが、転職についての捉え方もその内の一つです。
一つの職場に少なくとも3年は勤めた方が良い、というのが日本での一般的な考え方ですね。
一般職であれば、3年努めれば何かしらの実績を残すことができるはずですから、その実績を作ってから、それを強みに次に進む方が良いということでしょう。
しかし看護職において、その考え方はあまり強くありません。
何故でしょうか?答えの一つとして、転職が看護師のキャリアの積み方の一つの方法であるからだと言えるでしょう。
一般職における転職は、キャリアの積み重ねとして捉えられない場合が多いです。
何かの仕事から何かの仕事に渡るわけであって、専門的な職業を続けていくわけではないからです。
しかし看護師の場合、転職をしたとしても看護職という仕事を続けていくことができます。
つまり、転職をしながらキャリアを積んでいくことができるんですね。
むしろ転職のイメージとして、向上心や向学心を思い浮かべる看護師だって多くいます。
それに看護師は、新人であったとしてもプロの職業人として仕事をしています。
つまり、新人のうちからもう実際にキャリアを積んでいるのであり、あなたが看護師という仕事を続けていく限り、どこで務めていても、そのキャリアは積み重ねられていくことになります。
看護師の需要は高い
それに加えて、日本は長く看護師不足に苦しんでいます。
一つの大きな社会問題ではありますが、転職を考えている看護師にとっては、ありがたいことでもありますよね。
看護師の需要は非常に高く、「キャリアを積む場所がない」という場面に陥ることはないと言っても良いでしょう。
新卒看護師の離職率は低くない
日本看護協会の病院看護実態調査によると、2015年度の新卒看護師離職率は7.8%です。
少なく聞こえるかもしれませんが、例えば看護学校でクラスに40人の生徒がいたとすれば、その内の3人が新人のうちに離職をするということになります。
そう考えれば、決して少ない確率ではないですよね。
新人で転職をしたからと言って、何もあなたが周りとは違う特殊な看護師であるという訳ではないんです。
新人で転職をして、その後に役職に就いた看護師なんて沢山います。
新人看護師の転職が「傷」だという考え方は、捨ててしまった方が良いですよ!
少し余談になりますが、一般職の大卒新人の離職率は11.8%で、看護職よりも少し高くなっています。
看護師の転職の方が一般職の転職よりもダメージは少ないと述べてきましたが、この結果は一体どういうことでしょうか?
上記でも述べましたが、一般職の転職はキャリアを繋げていくものではなく、途切れさせてしまう場合が多いです。
にも関わらず、新卒での離職率が11.8%。
これは一般職についた新卒の人たちが、まだ自分の道を決められていないことに関係してきていると言えます。
つまり、どの分野でキャリアを積んでいけばよいのかまだわからないんですね。
その点、看護師には明確なビジョンがあります。
看護師になるために勉強をしてきて、社会に出てすぐ、今までの勉強を生かして看護師としてのキャリアを積んでいくことができます。
そう考えると、キャリアを積める状態まで登りつめた、つまり、看護師免許を取得した自分を、褒めてあげたくなりませんか?
それでもまだ心配?こんな悩みなら解決できる!
さて、新人看護師でも転職しても良い理由を3つ挙げましたが、それでもまだ不安が拭えきれない人もいることでしょう。
ここで一つずつ、新人看護師の転職に付きまといがちな不安を解消していきましょう!
不安その1☆転職しても同じことになるリスクがあるでしょう?
もちろん転職にはいつもリスクが付きまといます。
それは新人の転職であっても、キャリアを積んだ後の転職であっても何ら違いはありません。
転職活動において信じるに値するリアルな情報収集をしていくことで、リスクは最大限に回避できます。
転職の手順や方法については次の項目で紹介しています。参考にして下さいね。
不安その2☆経験不足だから嫌がられるでしょう?
「教育を0から受けたい第二新卒を受け入れる病院が多い!」の項目で述べた通り、新人看護師が転職をする際に売りにするべきことは、経験不足をプラスに捉えた柔軟性です。
採用者側はあなたの経験値を評価して雇うわけではなく、今後の戦力としてこれから教育していくことが目的です。
経験不足というよりも、あなたは真っ白な新人。経験に期待などされていませんから、これから様々なことを吸収していくのだという新人らしさをアピールすれば問題はありませんよ!
不安その3☆またすぐに辞めると思われてしまうでしょう?
そう思う人も中にはいるかもしれませんが、あなた次第でそんな人達の考え方は動かすことができます。
転職の理由を正直に話して、今回の転職によってその問題が解消されるのだということを伝えれば、相手を納得させることができるでしょう。
面接官は何人もの転職希望者を見てきていますから、人の内面を見抜く力においてはプロです。
今回の転職について変に理由付けをしてしまうよりも、嘘偽りなくこの転職がなぜ必要であるのかを伝えましょう。
仕事が決まった後も、同僚に偏見の目で見られないように仕事に臨む姿勢には気をつけていきましょうね。
あなたのやる気が伝われば、相手のあなたに対する印象は良い方向へ変わっていきますよ。
不安その4☆病院じゃなくて、クリニックとか施設の方が楽でいいんじゃないかな?
これは安易な考え方だと言わなければなりません。
クリニックや施設の看護業務は楽だと思われがちですが、自分一人で判断しなければならない場面が多く、看護の基礎をきちんと持った看護師でなければとても勤まりません。
その基礎を築いていくためにも、新人のうちは教育制度の整った、基本的な看護技術を一通り学べる病院で働くことをお勧めします。
不安その5☆お礼奉公中だから転職なんて無理でしょう?
無理だとは言い切れません。お礼奉公は、あなたを縛り付ける絶対的な権力を持った存在ではありません。
まずはあなたのお礼奉公のシステムを確認しましょう。
お礼奉公中に退職をする場合、分割での奨学金返済が認められている場合と、一括が条件になっている場合とがあります。
分割での返済が可能であれば、一般的な奨学金を借りていたのだと思って、少しずつ返済していけば問題はないですよね。
一括返済が条件になっている場合で、まとまったお金がない、という人であっても、諦めてしまうのはまだ早いです。
奨学金の返済を肩代わりしてくれる病院というものが存在します。
奨学金の肩代わりシステムは、言って見れば裏情報です。
ですから表立って求人情報に記載はされていませんが、転職サイトを利用すれば、コンサルタントから情報を得ることができますよ。
ただし、転職先に奨学金の返済を肩代わりしてもらうということは、その転職先から借金を背負う、ということです。
今後は、その転職先で仕事をしながら借金を返していくことになります。
安易な決断は避けて、転職先、転職サイトのコンサルタントの話をしっかりと聞き、十分納得した上で決定をしていきましょう。
また、看護師のお礼奉公に絡んだ問題の中には悪質なものもあり、裁判にまで発展しているケースもみられています。
お礼奉公中の退職で納得のいかない問題がでてきた場合には、一人で抱え込まず、まずは周りの誰かに意見を聞いてみましょうね。
看護師の転職手順を確認しておこう!
新人看護師の転職に関する不安は取り除けてきたでしょうか?
次は、実際の転職活動をスムーズなものにするために、看護師の転職手順をざっと確認していきましょう。
①就業規則を確認
それぞれの病院が、退職日の何ヶ月前までに退職の意思を伝えなければならないのか、という規則を持っています。
一ヶ月前という場合が多いですが、稀に三ヶ月前という所もあるので、就業規則を確認して明確にしておきましょう。
たとえ規定は一ヶ月前になっていたとしても、実際に一ヶ月後の退職が難しい場合もあります。
余裕を持って、規定の日数よりも早めに退職の意思を伝えられるように準備をしておきましょう。
②転職先を探す
求人の探し方には、ハローワークやナースセンターで紹介をしてもらう、知人の伝手を頼る、求人誌をチェックする、といった方法があります。
また、近年多くの看護師が転職の際に利用しているのが、転職サイトです。
転職のプロの手を借りて賢く転職活動ができるため、お勧めの方法です。
転職サイトについては次の項目で詳しく説明していますので確認してみて下さいね。
③必要書類の準備
気に入った転職先が見つかれば、求人にエントリーすることになります。
必要書類は職場によって違いますが、基本的な書類セットは履歴書・職務経歴書・看護師免許証の写しです。
良い求人には応募者も多く集まります。
迅速に対応できるよう、事前にこれらの書類の準備をしておくことをお勧めします。
④面接と内定
エントリーした求人先に面接に行き、上手くいけば内定決定です。
その後、転職先と入職時期を相談しながら、各種書類の提出や、制服のサイズ合わせ等の手続きが始まります。
入職時期については、①で確認した現職場の就業規則に従えるように調整しましょう。
⑤元職場に退職の意思を伝える
退職の意思を今の病院に伝えましょう。
転職先が決まる前に伝えるか、それとも決まってからにするかについては、①の就業規則の内容などを考慮した上で決めましょう。
考慮しておくべきことは、良い転職先が見つかったからといって突然の転職を申し出てしまっては、現職場に迷惑をかけてしまう、という事です。
「もう辞めるんだからどう思われたっていいや」といった気持ちで退職することは避けなければなりません。
円満退職をすることで、新しい転職先でも気持ちよく仕事を始めることができます。
今後のあなたの看護師としてのモチベーションだって保たれます。
それに、看護師業界は思っているより狭いものです。
現職場で得てしまった悪評が何処かへ流れていってしまう可能性だって、ないとは言い切れませんからね。
⑥退職の日を決め、退職届を提出する
退職の意思を伝えて了承を得られれば、具体的な退職の日程を上司と相談しながら決定し、退職届を提出します。
職場によっては決まった退職届の書式がありますので確認してみましょう。
⑦引き継ぎをする
新人看護師の場合、引き継ぎが必要な事柄はあまりないかもしれませんが、あなたの退職後に周りの人が困ってしまうことがないようしておくことが大切です。
伝える必要のあることはピックアップして、引き継ぎ漏れのないように注意しましょう。
⑧新しい職場への勤務に向けて準備をする
場合によっては引っ越しが必要であったりと、大きな変化を伴うこともありますから、時間の調整など、しっかりとしておきましょう。
大きな変化はないとしても、落ち着いた気持ちで新しい環境に入っていけるための準備をしておきましょう。
例えば転職先が今とは違う診療科であった場合には、学校で学んだことを少しでも復習しておけば、緊張も和らぐかもしれません。
現職場で体力的に疲弊している人は、マッサージに通って体を整えるのも良いですね。
転職サイトを使って賢い転職を!
看護師の転職手順をざっと確認しましたが、これらのことを一から十まで自分一人でやっていくのは結構大変です。
その上あなたは、まだ職場に慣れていない新人の看護師。仕事に行くだけでもうクタクタの状態ですよね。
そんなあなたにお勧めなのが、看護師転職サイトです。
転職サイトを利用することの大きなメリットは、専門のコンサルタントがあなたに代わって条件にあった求人を探してくれるという点です。
人手不足の看護師業界。看護師の求人は沢山ありますが、だからこそ、その膨大な求人の中から自分の条件に合ったものを絞り込んでいくのは、大変大掛かりな作業になってきます。
転職サイトに登録して、あなたの転職先に求める条件を伝えておけば、それに見合った求人を探してもらうことができる上、非公開の情報までも知ることができます。
転職活動において、信頼できる情報を取集することは、成功の大きなポイントになってきます。
「求人情報に乗っていた内容が、実際は違った!」ということは、残念ながらあり得ることです。
転職サイトを利用すれば、転職のプロが集めたリアルな、言わば裏情報を知ることができます。
転職に伴うリスクを最小限にするために、大変貴重な情報源になってくれますよ。
履歴書の書き方、面接におけるアドバイスなどを受けることもできますから、転職活動全般においてプロのサポートを受けることが可能です。
しかも利用は無料!利用しない手はないですよね!
まとめ
いかがでしたか?
新人看護師の転職は決して珍しいものではなく、高いリスクを背負うものでもないことが分かっていただけたかと思います。
看護師は、景気の影響を受けることなく、しかも上昇志向の現れとして前向きに就職活動のできる恵まれた職種です。
保守的になりすぎず、せっかく取得した看護師免許をより良い環境で活かしていけるように、一歩踏み出していきましょう。
その一歩が、あなたの看護師人生をより素敵なものへと変えていってくれることでしょう。
執筆者情報
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