社会的課題として2025年問題が取り上げられるている昨今、潜在看護師という言葉を耳にする機会も増えてきましたよね。
団塊の世代が75歳を迎える2025年、日本は超高齢化社会を迎え、医療や介護の需要が格段に高くなると言われています。
この問題の一助となるであろう人々が、日本に71万人存在すると言われている潜在看護師です。
看護師の資格を持ちながらも看護師として仕事に就いていない人を指す言葉、潜在看護師。この71万人の潜在看護師は、以前は臨床で看護師として働いていた、いわゆる臨床経験ありの看護師と、資格取得後に一度も臨床に出たことのない、臨床未経験者とに分けられます。
今回は、この臨床未経験の看護師が如何にして看護師として就職をするか、ということをテーマに話を進めていきたいと思います。
臨床未経験の看護師になった経緯には様々なものがあります。
学校を卒業後、他の分野への関心が高まりその分野で就職または進学した人、結婚や出産のために就職できなかった人、病気で療養生活を送っていた人。
それぞれの理由によって臨床未経験のまま今まできてしまったけれども、やはり看護師の仕事を始めてみたい、でも、未経験の自分が看護師としてやっていける自信はない・・。
なんて弱気になっている人、いるんじゃないですか?
あなたは日本社会が求めている資格を持っているのです。
その資格を活かすことを諦める必要なんてありません。
一歩前に踏み出して、苦労して手に入れた資格を活かしていきませんか?
臨床未経験の看護師が抱える不安の原因と解消法
臨床未経験の看護師が抱えている不安がどこから来ているのか原因を探ってみましょう。
不安は漠然としたままでは解消されませんよね。
不安の原因を突き止めて、まずは自分の置かれている現状を見つめましょう。
次に、どのように発想を転換すれば、それぞれの不安が解消されていくかも考えていきたいと思います。
①看護学生時代の実習でしか臨床を経験したことがない
臨床未経験の看護師が不安を感じてしまう一番の原因は、「経験がない」ということそのものから来ていることが多いかと思います。
もちろん学生時代には実習を経験しているでしょうが、一看護師として臨床にいたのではなく、あくまでも看護実習生という立ち位置でした。
それに、実習を経験したのだってもう数年前、あるいは10年20年前かもしれません。
実習で学んだ臨床現場の流れや患者さんとの関係の作り方、そういった看護の基礎も、もう忘れてしまったかもしれませんし、看護処置における手技なんて以ての外かもしれません。
そういった状況から看護師として臨床の現場に立とうとすることは、大きな勇気を必要とすることだと思います。
看護師一年目は誰だって同じ条件!
臨床未経験の人が就職をする際には、経験値がないわけですから新卒扱いでの採用ということになります。
そうなれば、実習でしか臨床を経験したことがないという状況は、他の新卒看護師全員同じです。
皆が同じ条件から看護師としてのスタートを切っているわけで、誰しもがそこを通り抜けてから「臨床経験あり」の看護師になるのです。
卒業からかなり年数が経っていて不安が強い人は、各都道府県のナースセンターや地域の病院で開催されている、潜在看護師のための実技研修や相談会に参加するのも良いかと思います。
そういったものに積極的に参加すれば、就職の際の面接でもアピールできます。
不安解消とアピールポイント獲得の一石二鳥ですね。
②臨床未経験の自分を雇ってくれる所があるとは思えない
これは多くの人が考えていることかと思います。看護師不足とはいえ、日本には150万人以上の看護師資格保持者がいるわけです。
そんな中から、自分のような臨床未経験の看護師を選んでくれる所なんてあるのだろうか、そんな不安を抱いてしまっても、無理はありませんよね。
あります!
臨床未経験であることが就職の際に不利な条件となってしまうことは、残念ながら事実です。
しかしながら、日本はやはり看護師不足なのです。
臨床未経験なのであれば、新卒看護師と同じ手順で教育をしていけば良いのですから、新人指導体制の整っている所であれば、臨床未経験者の受け入れはそれほど難しいことではありません。
もちろん臨床未経験者を受け入れない病院もありますし、求人は選びたい放題というわけではありませんが、うまく条件を絞り出して探していくことで、就職先は必ず見つかります。
就職先選びのポイントは次の章で紹介していますので、参照して下さいね。
臨床未経験を抜け出して看護師として仕事を始めた人は沢山います。2025年問題に向けて、潜在看護師の需要は高まっています。
あなたはいわば、求められている人なのですよ。
③自分より若い看護師から指導を受けることに抵抗がある
臨床未経験の看護師には、20代から50代の人まで、様々な年齢層の人が含まれます。
看護師の仕事をしていなかった間、子育てに専念していたり、他の職種でバリバリと仕事をこなしていたり、闘病生活を送っていたり、別分野の勉強に励んでいたり、それぞれの人がそれぞれの道で一生懸命だったわけですよね。
そうした人生経験を踏んできたわけですから、ここにきて看護師として働くとなった時に、自分よりも年下の、あるいは、はるかに年下の人から指導を受け、お叱りを受け、という状況に不快感を持ってしまう人もいるかもしれません。
看護師としては一年生になるわけですが、人生経験は指導者より豊富でより深い考察能力を持っているというプライドが邪魔をするんですよね。
看護業界はキャリア社会であることを心得て!
臨床未経験のあなたは20代前半の若い世代ではないでしょうから、自分が年を重ねながら経験してきたことに対してプライドを持っているのは当然でしょう。
むしろそれは、とても素敵なことですよね。
しかし、看護師の世界で年功序列は通用しません。
経験がものをいうキャリア社会です。
もちろん年長者に敬意を示すという日本社会における基本姿勢は各々が持っていなくてはなりません。
しかし、命を預かる看護の現場では、キャリアを積んだベテラン看護師が経験の浅い者を引っ張っていかなくては、患者さんの安全を守っていくことができません。
例えばあなたが50代であっても、20代の先輩看護師に対して謙虚でいられる人であって下さいね。
あまり傲慢な態度をとってしまうと、せっかく採用をもらったのに人間関係に苦しむ羽目になってしまうかもしれません。
しかしこの問題は、実際に仕事を始めてしまえば、心配する必要のなかったことだと思うかもしれません。
若くてもしっかりと責任を持って仕事をしている人を目の前にすれば、自然と謙虚な気持ちも生まれてくるでしょうからね。
④臨床未経験の自分なんて周りのベテラン看護師から嫌がられるに決まっている
仕事を楽しめるかどうかというのは、仕事内容もさることながら、人間関係も大きく影響していますよね。
同僚との人間関係に問題があると、いくら仕事内容自体にやりがいを感じていても、仕事を継続していくことが苦痛になってくるものです。
看護業界で働いている人たちは、自分の仕事に強い誇りを持っている人が多く、「できない人」に対して少し冷たい印象がありますよね。
臨床未経験で新卒でもない自分なんて、誰も相手にしてくれないんじゃないか・・女社会だからイジメに会うかもしれない・・といったネガティブな思いが湧き出てきてしまう気持ち、看護師なら誰でも共感できるのではないでしょうか。
誰かを嫌う人にとって、理由なんてなんでもいい!
女社会で陰湿なイメージの強い看護師の世界。
はっきり言ってしまえば、職場の中で誰かを嫌って冷たく対応するようなベテラン看護師は、どこにだっています。
「臨床未経験の看護師だから」というのは、嫌いになるための理由であって、もしも臨床未経験でなかったとしても、他の理由をつけて嫌ってくるのだと思います。
例えばあなたがキャリア看護師だったとしても、今度は「自分よりできる」という理由で目の敵にされるかもしれません。
つまり、誰だって嫌がらせの対象になる理由を持っているということです。
人間関係に強い不安を感じている人は、とにかく就職活動の際に情報収集をすることです。
看護師の離職率の高い病院は、人間関係が悪いことが多いので要注意です。
看護師の定着率が高く、患者さんからの評判も良い病院を探すことで、気持ちよく仕事のできる場所を見つけることができますよ。
臨床未経験の看護師が就職する時に押さえておきたいポイントは?
さて、あなたの抱えている不安は解消されつつあるでしょうか?
ここからは具体的に、臨床未経験の看護師が就職活動をする際のポイントを確認していきましょう。
実際に看護師として就職活動をしたことがない、という人が多いでしょうから、ここでちょっとイメージトレーニングをしてみて下さいね。
そうすることで、看護師への道がもっと身近に感じられてくると思いますよ。
①就職先探しのポイントは新人教育制度の充実度!
就職先を探す際にまず確認しておかなければならないのは、新人教育制度の有無です。
臨床未経験のあなたは、新卒の看護師と同じように一から教育を受けることになります。
ですから、新人教育制度の良し悪しによって今後の看護師人生が左右されると言っても過言ではないのです。
プリセプターや病院内研修制度、新たな資格取得に向けた支援制度の有無、看護研究の有無や研究への力の入れ方、などが確認ポイントです。
今後の自分の看護師人生をどんな風にしていきたいのかをまず考えてから、自分にあった新人教育が行われている場所を探しましょう。
「これからは看護師のキャリアをどんどん積み上げていくんだ!」という希望のある人であれば、看護研究にも参加できて、今後は更に専門的な資格取得も目指せるような場所を探せば、この先の道がより広がっていきますね。
逆に、「キャリア志向なんてないし、ゆるく仕事が続けられればそれでいいかな」と思っている人であれば、基本的な看護技術が取得できる教育制度さえあれば十分です。
こういったタイプの人がキャリアアップへの支援が整った所に行ってしまうと、周りとの温度差に居心地の悪さを感じてしまったり、やりたくないのに看護研究要員に抜擢されてしまって困ってしまったり、といった状況に陥る可能性もあるので要注意です。
また、教育に力をいれている病院は、20代から30代前半くらいの若い新人を求めている場合が多いです。
求人情報に年齢制限を設けることは違法であるため、こちらから病院の求める年齢層を知ることはできないのですが、40代50代の人にまで同様に新人教育を提供しているかどうかは疑わしいところです。
したがって、40代50代の人の就職口は、若い年齢層の人と比べると狭くなってしまうのが現状です。
しかし、必ず就職口を見つけることはできますよ。
個人で探すのは少し難しいので、プロの手を頼って受け入れ先を見つけてもらうことをお勧めします。
そのことについては以下の「③転職サイトの活用でスムーズに就職先探し!」で紹介していますので参照して下さいね。
②「未経験歓迎」には思わぬ落とし穴も!
臨床未経験の看護師が就職先を探す場合、「未経験歓迎」かどうかが大きなポイントになってきますよね。
そもそも未経験者不可であれば、求人にエントリーすることさえできません。
ここで少し注意が必要です。
「未経験歓迎」と求人情報に書かれていても、それは「臨床未経験オッケー」という意味ではないこともあります。
例えば、小児病院の求人に「未経験歓迎」と記載されていたとしても、「小児科での経験はなくても良いが、他分野での臨床経験は必要」という意味であることが多い、ということです。
「未経験歓迎」にはもう一つの落とし穴があります。
深刻な看護師不足に悩まされている病院の求人です。
とにかく人材確保が第一で、看護師の免許があるなら誰でもいいから来てもらいたい、という所は割とあります。
こういった病院では、面接に行けば即採用!となる事もあり、就職口を求めている人にとってはありがたい存在であるかもしれません。
しかしながら、実際の現場に行ってみると、人手不足で新人教育にまで手が回っておらず、未経験者であっても一人で動かざるを得ない状況に投げ込まれてしまうことが、残念ながら多々あります。
臨床未経験者に新人教育なしでは、とても仕事はやっていけませんよね。
採用をもらえるのは嬉しい事ですが、安易に採用に飛びつかず、現場の内情を見極めるために少し厳しい目を持っておくことも必要です。
こちらにも選ぶ権利があるということを忘れずに!
③転職サイトの活用でスムーズに就職先探し!
現場の内情を見極める重要性についてお伝えしましたが、求人情報を見ただけで実際の現場について知ることなんてできませんよね。
面接に行って質問をするにしても、看護師確保に躍起になっている採用担当者が、マイナスイメージを抱かせるような内容を正直に話してくれるとは限りません。
そんな問題に加えて、年齢的な問題がある場合もあります。
前述しましたように、40代50代の臨床未経験者が就職先を探すのは若い人に比べると難しくなってきます。
それらの問題を解決してくれるのが看護師転職サイトです。
登録は無料です。
インターネットを使って登録をすれば、プロのコンサルタントがあなたの現状を聞き取り、あなたの希望にあった就職先を探してくれます。
転職サイト利用の大きなメリットは、専任のコンサルタントがあなたの代わりに、就職先との条件を折衝してくれるという点です。
個人で面接に出向いても、聞きにくいことや、そういうものだと諦めてしまう条件など、ありますよね。
転職サイトを利用すれば、もう諦める必要はありません。
年齢的な問題を抱えている人であれば、年齢に関して例外的な取り計らいをお願いしてもらったり、年齢不問で看護師を募集している病院を紹介してもらうこともできます。
各就職先の内部情報だって知ることができますから、働きだしてから「こんなはずじゃなかった!」となってしまう可能性は、格段に低くなります。
ただ漠然と看護師として仕事を始めたいと思っているだけで、具体的な方向性が見えない人も、コンサルタントに相談したりアドバイスをもたっらりすることで、看護師としての形が見えてくるかもしれませんよ。
どうですか?転職サイト、利用しない手はないと思いませんか?
まとめ
いかがでしたか?
日本の看護師の人数は年々増加傾向にありますが、まだまだ足りていないのが現状です。
社会にとっては深刻な問題ですが、看護師の資格を持つ者にとっては、就職先に困らないというありがたい状況になっています。
始めの一歩を踏み出すことには勇気が必要ですが、その一歩が日本社会への貢献になり、あなたの人生のキャリアとなって、より色彩豊かな生活を提供してくれると思います。
勇気を持って、最初の一歩を踏み出して下さいね。
執筆者情報
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