看護師と言えば「激務」という言葉を思い浮かべる人も多いでしょう。
すっかり厳しい仕事であるイメージが根付いてしまっている看護師の仕事。
この激務をこなす術を身につけるため、新人看護師である新卒1年目の間は、なりふり構わずに毎日の仕事をとにかくこなしていた、という人が大多数だろうと思います。
とにかく気合いで乗り越えた1年目。緊張しっぱなし、覚える事も盛りだくさん、とても冷静に自分を見つめる余裕などなかったかと思います。
そんな一年を終えて2年目を迎えた時、見えてくるものは喜びや楽しみである人もいるでしょう。
しかし、そこには苦悩しか見えてこない人もまた、多くを占めています。
どうして看護師の2年目ってこんなに苦しいの?
先述しましたが、看護師としての仕事を始めたばかりの1年目は、とにかく余裕がありません。
何もかもが新しく、一から十まで先輩看護師の指示を仰ぐ毎日。緊張と焦りが常にあって、一日を無事に終えることが最優先事項。
そんな毎日を乗り越えて迎えた看護師2年目。
「2年目に入れば少しはマシなんじゃない?」そんな想像をしていたかもしれませんが、そう簡単にはいかないもの。
2年目の看護師が感じる苦悩とは、具体的にどういったものなのでしょうか?
本当にここでいいのか?自分の将来の方向性と向き合い葛藤が生まれる
2年目に入って少しずつ周りや自分のおかれている状況が見えてきた時に
「この病院の考え方って、ちょっとおかしくない?」
「この診療科が本当に私にあっているのかな?」
といった疑問が浮かんできてしまう事があります。
この先の看護師としての自分の方向性を考えていく余裕もでてきますから
「ここで自分のキャリアが積めるのか?」
「自分の思い描く看護師は、ここにいれば成れるのか?」
等と考えてしまい、
「ここは自分の理想の場所ではないかもしれない。」
という思いと、
「まだ2年目だからここの良さを本当に分かっていないだけかもしれない。」
という思いとに挟まれてしまうんですね。
体調が崩れやすい
2年目の気持ちの余裕は、体調不良につながることもあります。
闇雲に駆け抜けた一年の間に貯めてしまった慢性的な疲れが、少し気持ちが緩んだ今になってでてくるのでしょう。
しかしながら、看護師業務についている以上、なかなか簡単には休めません。
2年目の看護師であれば、尚更ですよね。
体調不良を抱えながら業務を続ける毎日。
健康管理は自己責任だと自分を責めてしまう事もあるかもしれません。
自分はミスが多いと思い込む
看護師1年目の間は、プリセプターや先輩看護師があなたの業務をフォローしてくれていました。
ミスを直接指摘してくれる事も多かったでしょうが、さりげなくフォローに入ってくれていた事も多くあるでしょう。
2年目になって先輩達の目が離れれば、そんなフォローがなくなりミスが目立つようになってしまいます。
そして「自分はミスが多いんだ。」という考えに陥ってしまいます。
実際には、決して「あなただけが」ミスが多い訳ではなく、2年目看護師にミスが目立つ傾向がある、というだけなのですが、ミスを繰り返すと人は思い詰めてしまうものですよね。
同期と比べて劣っていると落ち込む
一年なんてあっという間に過ぎていきますが、だからといって決して短い期間ではありません。
この一年の間に、同期の看護師との間にスキル修得のスピード差が生まれてしまう事はあります。
同期同士は何かと比較の対象になってしまいますので、自然と自分達もお互いを意識し合ってしまい、
「あの人はできているのに私は・・。」
などと比べてしまい、落ち込むこともあるでしょう。
「新卒ではない」というプレッシャーに苦しむ
1年目の新卒看護師にとって、「知らない事」「出来ない事」は、言って見れば当たり前の事です。
そのためにプリセプターが付いたり、先輩看護師が指導に入ったりします。
言ってみれば、1年目は「新卒」であることに守られているんですよね。
それが2年目になると状況が変わります。まだ2年目ですから分からない事があって当然です。
ですが「新卒ではない」という状況にプレッシャーを感じてしまい、分からない事を恥ずかしいと感じたり、出来ない事を出来ないと言い出せなくなってしまったりします。
また、先輩看護師達のフォローの目は、新しく入ってきた新卒看護師に向けられるようになります。
2年目看護師は、まだ一人前ではないのに一人前にならなくてはならないという状況に陥り、苦しくなってしまうんですね。
まだ看護師2年目なのに転職を考えるなんて、常識知らずなのかな?
看護師2年目の苦悩に直面し、「転職」という言葉が頭を過る人もいるかと思いますが、多くの2年目看護師は、その考えに躊躇します。
「石の上にも三年」や「雨垂れ石を穿つ」など、日本には多くの「忍耐」「継続」を徳とする言葉があります。
そのためか、一般的に2年目での転職に対して持つイメージといえば「逃げてるだけ」「離職癖がつく」「履歴書が汚れる」といったネガティブなものばかりです。
しかし、2年目で転職を考えたからといって、そんなに自分を否定する必要はありませんよ。
確かに2年目での転職は、決してこの先有利になる転職方法だとは言えません。
新卒のあなたを一年間育て、またこれからも育てていこうとしてくれている今の職場に迷惑をかけてしまう事も避けられません。
新しい就職先を見つける際に、「看護師2年目」ということがデメリットとなってしまうこともあるでしょう。
しかし、自分を押し殺してまでひたすら忍耐強くなる必要などありません。
自分の体と、そしてココロと相談して、どうしても転職が必要だと判断したのであれば、自分の決断に自信を持って、そちらに踏み出して行けば良いと思います。
「辞めたい」「転職したい」という思いを抱えながら無理矢理仕事を続けていても、患者さんに良い看護を提供することはできませんからね。
看護師2年目の転職を成功させるために必要なこと
看護師2年目で転職するのであれば、次はもう少し長く勤められる勤務先を見つけたいものですよね。
しかしながら、条件の良い勤務先には他の求職者も集まってきます。
経験豊富な看護師も中にはいるかもしれません。2年目看護師のあなたが転職を成功させるためにアピールするべきポイントと、押さえておきたい項目をまとめました。
看護師2年目の転職のデメリットを知っておこう!
看護師2年目の転職を成功させるためには、まずはそのデメリットを知っておかなくてはなりません。
実質2年以下の業務経験で転職をするわけですから、採用担当者がデメリットに目を向けてしまうことは避けられません。
あなた自身がそのことを理解しておくことが大切です。
①忍耐力のない人間だと判断されてしまう。
②今回の職場でも長続きしないのではないかと不安を与える。
③経験不足のため即戦力にならないと捉えられる。
転職の目標を明確にして、転職先にしっかりと伝える!
上述したデメリットを理解した上で、採用担当者が抱えるそれらの不安をいかにして取り除くかという事を考えなければなりません。
そのためには、あなたの転職の目標を明確に相手に伝えることが必要になってきます。
なぜ看護師2年目にして転職を決心したのかということを、第三者にも十分納得できる理由で説明できれば、自ずとそれらのデメリットは解消されていきますよ。
例えば、「転職先が専門としている分野の勉強をしていきたい。
その分野で専門看護師の資格を取りたい。」といった、転職先でしかできない事に強い関心があるとアピールをすれば、忍耐力がなくて2年目で転職をする訳ではなく、前向きな転職であることを採用担当者に伝えることができます。
看護師2年目の転職にも利点があるということをアピールする!
先ほどはデメリットを挙げていきましたが、看護師2年目の転職にだってメリットはあります。
それらのメリットをしっかりと伝えて、採用担当者が持つマイナスイメージを払拭しましょう。
①経験不足ではあるが、その分物事を柔軟に捉えることができる。
②自分の出来る事、出来ない事がすでに分かっているので、一からの指導は必要ない。
③まだ若い事が多く、体力的な面で戦力になれる。
転職のタイミングをしっかりと検討する!
転職するタイミングはとても大切です。あなたが退職するとなれば、今現在働いている職場に少なからず迷惑をかけることになります。
同僚の誰かが産休に入るタイミングや、他のスタッフの退職時期と重ならないようにするためにも、上司としっかりと話し合いをしていきましょう。
円満な退職は、精神的にもあなたの助けになります。
焦らずに良いタイミングを探っていきましょうね。
また、転職先の選択肢を増やすためには、求人数の多い時期を狙って転職活動を始める事が大切です。
看護師が退職するタイミングで最も多い時期は、ボーナス支給の後です。
つまり12月のボーナス後と、6月のボーナス後。その時期が近づくと、看護師を補充するために求人が増えてきますから、まめに求人のチェックを行ってくださいね。
転職サイトを利用する!
転職活動を行うにあたって必要不可欠なものは、情報収集です。
数多くの求人情報に目を通し、それぞれの職場の労働条件や環境を読み取り、本当に自分に合う求人であるのかどうかを検討していかなくてはいけません。
今の職場の仕事をこなしながらこれらの作業を進めていくことは、なかなか難しいですよね。
そんな時に非常に役に立ってくれるのが転職サイト。
登録して、専任のコンサルタントにあなたの希望の転職条件を伝えておけば、良い求人が出てきた時にメールや電話で紹介してもらえますよ。
また、履歴書の書き方や面接の進め方等、様々なサポートも受ける事ができます。
専任のコンサルタントにあなたの悩みを相談することもできますので、転職活動の最初の一歩としての転職サイトへの登録は、良い走り出しになるかと思いますよ。
まとめ
看護師2年目というのは、看護師としてはまだまだ新人です。
新人だからこそ傷つきやすく、仕事に慣れたようで慣れていなくて、一人で出来るけれど出来ない事も多い。
本当に苦しい時期ですよね。
忍耐が美徳とされる日本。2年目で転職を考えてしまう事に強い抵抗を感じてしまうかもしれませんが、悩んでいるのはあなただけではないということを知っておいてくださいね。
そして、看護師2年目で転職をして、その後も自分らしく看護の道を進み続けている人達も沢山いるという事も、覚えておいて下さい。
日本は慢性的な看護師不足です。
それは社会的デメリットではありますが、私たち看護師にとっては有利に捉えることができる事でもあります。
経験不足であっても、そんなあなたを必要としている職場は必ずありますから、本当に今苦しいのであれば、転職を検討してみることは悪い事ではありませんよ。
まだ転職の決心はしていないとしても、転職サイトに登録をしておけば、相談相手もできますし、良い求人には目を通すこともできます。
一人で悩まずに、誰かに相談することで、自分の気持ちが見えてくる事もあります。
頑張りすぎてしまう前に、一歩前に足を踏み出してくださいね。
執筆者情報
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