看護師の平均的な転職回数は、他業種と比べると多いと言われています。
平成26年に厚生労働省が実施した、平成23年3月卒業者の業種別離職率ランキングによると、医療・福祉業界が5位で38.8%となっています。
実に医療・福祉業界で働く3人に1人が、3年か3年未満で離職しているということになります。
看護師で3年目と言えば、業務をこなす事にも余裕がでてきて、指導を受ける立場から指導をする立場に変わっていく時期です。
仕事にも慣れたことだし、楽しさは増していくはず・・・
と考えていたかもしれませんが、3年目看護師には3年目ならではの悩みや不安というものがでてきてしまうんですよね。
ここでは、そんな3年目看護師の転職事情についてまとめていきたいと思います。
目次
看護師3年目の転職はまだ早すぎる?そんなことはないです!
「3年」と聞くと長い期間に感じますが、「看護師3年目」と聞くと、ベテランの響きは全くしないですよね。
言ってみれば「自立した新人」といったイメージでしょうか。
しかしこの3年目の看護師、採用者から見れば一番欲しい時期の看護師であると言えるんですよ。
知識や技術はもうそれなりにあるので、即戦力となって働くことができるうえ、看護師としての凝り固まった考え方を持っているわけではないので、柔軟性を持って新しい物事を吸収することもできる。
それに、今現在の仕事環境から見ても、3年目は転職の良いタイミングです。
今の職場を続けて、さらに4年目5年目となっていくと、より重要な役割を任されるようにもなってきます。
そうなってくると、退職のハードルは今よりも高くなってしまいますからね。
その事に加えて、学生時代に奨学金を借りていた人であれば、3年目というのはお礼奉公が終わって身が軽くなる時期でもあります。
看護師3年目は、転職するのであれば最も動きやすい時期、と言っても差し支えないかと思います。
3年目の看護師が転職を考える理由《不安、悩み編》
3年目の看護師が転職を考えるきっかけとなる、3年目ならではの不安や悩みとは、具体的にどのようなものでしょうか。
ここで詳しく見ていきましょう。
任される仕事が増えてきてプレッシャーを感じる
不安だらけの1年目を走り抜け、何とか自立に向けて頑張った2年目。
やっと3年目に入って少し余裕が出てきたかなーと安心するのも束の間、リーダー業務や病院内の委員会、プリセプターを任される。
看護師は3年目に入ると、任される業務が格段に増えてしまう傾向があります。
業務をこなすことに余裕がでてきたとはいえ、まだまだベテラン看護師ではありません。
新しい業務を任されても、全てを器用にこなしていくなんて、そうそうできないですよね。
人間関係の難しさ。先輩と後輩の間で板挟みになって苦しい
3年同じ職場で働いていると、周りの人間関係がある程度見えてきます。
苦手な先輩は誰と誰で、上手くやっていける相手は誰。そういった関係性が、もう固まってきますよね。
1年目や2年目のうちであれば、苦手意識を持っている先輩に対してでも、関係を崩さないように寄り添う努力をしたりもできます。
しかし3年目にもなると、「もう無駄な努力はしたくない!」「合わないものは合わない!」という気持ちが強くなってしまいます。
より良い人間関係を改めて構築していこうという気持ちにはなかなかなれず、「とにかく嫌!」という気持ちを心の底に貯めていってしまうんですよね。
それに加えて、3年目でプリセプターを任されてしまうと、新人の学生気分を引きずった振る舞いにイライラとしてしまうこともあるでしょう。
初めてのプリセプターで自分自身にも余裕がありませんから、いつも優しく振る舞う事なんて、できないですよね。
新人のミスや社会人にそぐわない態度に対して、プリセプターのあなたが先輩から責められてしまうことも、珍しくないです。
3年目の看護師は、先輩と後輩の間に挟まれてしまって、息苦しくなってしまう時期だと言えますよね。
自分の実力不足が目に見えてきてしまって落ち込む
看護師も3年目になると、仕事を難なく丁寧にこなしていける人もでてきます。
そうかと思えば、まだまだ不安な事が多く、自分の実力に自信が持てない人もまた、多くいるはずです。
仕事のできる同期を見てはため息をつき、自分はすっかり取り残されてしまった・・と感じてしまうこともあるでしょう。
1年目2年目であれば、まだ出来ない自分を納得させる事ができたかもしれません。
それが3年目になると、自分はそもそも看護師に向いていないのではないか・・と、否定的に物事を捉えてしまう人が多くなってきます。
給与面、待遇面に不満が出てくる
3年目に入ると、勤務先によっての待遇面の違いが見えてきます。
一般的に看護師の昇給のスピードは遅く、一年で数千円が平均的です。数百円という所もあります。
あまり大きな額ではないとはいえ、他病院に勤めている看護師仲間との間に明らかな昇給の差が見えてくると、「私だって頑張っているのに!」と不満を感じてしまうのも当然です。
新人の頃は業務修得に必死で、給与や待遇は気にならなかったかもしれません。
しかし仕事に余裕がでてくる3年目に入ると、努力に見合った報酬や待遇が欲しくなってくるんですよね。
ブラック体質とまではいかなくても、決して良いとは言えない仕事環境を持つ看護師の勤務先は、残念ながら多く存在します。
「そろそろプライベートも充実させていきたいけれど、有休が取れる状況ではない。」
「夜勤が体力的にも精神的にもきついけれども、スタッフ不足のために回数を減らす事ができない。」
など、3年目に入って余裕を感じると同時に待遇面への不満が湧き出てくる、なんてこともありますよね。
3年目の看護師が転職を考える理由《キャリアアップ、人生の転機編》
3年目の看護師が転職を考えるきっかけは、ネガティブなものばかりではありません。
前向きな上昇志向から転職を検討し始める3年目看護師も多いです。
他の診療科や分野に興味が出てきた!
看護師の仕事も3年目に入れば、今の診療科での業務は一通り学べたので、次は他の診療科で新しい事を学びたい、という希望を持つ人がでてきます。
3年目に入って他の医療関係者とのチーム医療にも積極的に関わるようになってくると、看護とは違う分野にも興味がわいてきた、という人もいます。
新しい診療科で勤務をするために、他分野に進むための勉強時間を確保するために、そういった理由で転職をしていく3年目看護師は、結構多いんですよ。
看護師としてのキャリアアップを目指したい!
今の職場に特別な不満を持っているわけではないけれども、将来を見据えたうえで、キャリアアップを目指せる場所に転職を希望する3年目看護師も多いです。
特定の分野で専門看護師や認定看護師を目指したい、という具体的な目標を持ち始めるのも、看護師3年目頃が多いようです。
また、僻地医療や離島医療、海外支援に興味を持っている看護師の場合も、「実務経験3年」を条件として提示されることが多いため、これがクリアできるタイミング、つまり3年目の最後で転職していくことが多いですね。
結婚などの人生の転機!
まだまだ女性が多数派を占める看護師業界。看護師3年目になってくると、結婚をする人もでてきます。
結婚に伴って引っ越しをするのであれば、現在の職場への通勤が難しくなってきますから、転職が必要になってきますよね。
看護師3年目での転職を成功させるために!押さえておきたい3つのポイント!
前述しましたように、3年目での看護師の転職はよいタイミングだと言えます。
あなたを必要としてくれる転職先も、多く存在するでしょう。
選択肢が多いということは、逆に言えば「はずれくじ」も多くあるという事です。
3つのポイントを押さえて、失敗しない転職活動に備えていきましょう。
①転職先探しは慎重に!
慢性の看護師不足に悩む日本。看護師の求人は多くあります。
そのうえ3年目看護師であれば、引く手あまただと言って良いでしょう。
そんな数ある求人の中から転職先を探していかなくてはならない訳ですから、まずは条件を絞っていく事が大切です。
ステップアップのための資格取得が目的であれば、その支援制度。プライベート充実が希望であれば有休消化率。
あなたの希望が叶えられるように、外せない条件を明確にしてから、求人情報にふるいをかけていきましょう。
また、転職のリスクと言えば、実際に働いてみるとイメージしていた職場とは違っていることがある、ということですよね。
人間関係が悪かった、サービス残業が多かった、夜勤の仮眠時間が短かった、どうしても好きになれない上司にあたった、等々。
求人情報のみでは実際の現場の様子を知る事は不可能ですから、後々残念な結果がでてくることも多々あります。
求人の条件がいいのでオッケー、ではなくて、実際にそこで働いている人が身近にいれば聞いてみたり、インターネットで病院の評価をチェックしてみたり、実際にその現場を知っている人の声を集めるようにしてみましょう。
そうすることで、転職のリスクを最小限に抑えることができますよ。
転職サイトに登録して専任のコンサルタントに相談するのも、良い方法ですね。
何と言っても転職の専門家です。
簡単には知る事のできない内部情報も、知る事ができますよ。
もちろん求人情報の絞り出しにも、転職サイトの活用は多いに役に立ちます。
あなたに代わって、あなたの希望に合った求人を探し出してくれますよ。
②面接対策を綿密に!
前述していますが、3年目の看護師というのは即戦力となって働くことができるので、採用してもらいやすいです。
「まだ3年の経験しかないので・・。」といった謙虚な、あるいはネガティブな発言は避けて、3年目看護師であることに自信を持って、元気な笑顔で面接に臨んで下さいね。
また、転職先は今現在の職場とは違う診療科であったり、病棟から療養所へなど、今とは違う分野であることが多いです。
そんな時は、
「自分には新しい分野なので、しばらくは指導者を付けてほしい。」
「ある程度自立して動けるとは思うが、指導が必要な時もでてくると思うのでフォローをお願いしたい。」
など、正直にできない事を伝えて、適切なフォロー体制を整えてもらえるように依頼しましょう。
フォローを依頼したからといって、あなたの持つ3年目看護師の強みが消えるわけではありません。
逆に「正直な責任感のある看護師」という印象を与えることになると思いますよ。
③今の職場から円満退職できるようにしっかりと調整を!
3年目の看護師が退職をするということは、職場にとっては大きな負担となります。
やっと自立できるまで育てあげた看護師が、一人減るのです。
正直なところ、3年目看護師の出番は今からのはずなのです。
それなのに、あなたは離れていってしまうのです。
あなたの退職後の人員補充も必要になってきますから、師長へは時間的余裕を持って退職の意思を伝えましょう。
退職の時期についても、できるだけ病棟の意向を尊重しながら、良いタイミングを探っていって下さいね。
また、他の看護師へ退職を伝えるタイミングも見極めなければなりません。
一緒に委員会をしている同僚等、業務上で関わりの深い相手には早めに伝えて、あなたの退職後の相手への負担が少しでも軽くなるように配慮しましょう。
円満に退職の日を迎える事で、あなたの気持ちも救われます。
次の転職先での仕事へのモチベーションにも繋がっていきますから、今まで育ててもらった感謝の気持ちを忘れずに、綺麗な退職を心がけていきましょうね。
まとめ
看護師3年目の転職は、タイミング的にはとても良いと言うことができます。
今の職場に不満があるのであれば、あるいは将来を見据えてより良い職場を手に入れたいのであれば、このタイミングを活かさない手はありません。
じっくりと良い職場を探したいけれども時間に余裕がない、という事であれば、転職サイトに登録をして、情報収集は任せてしまえば良いかと思います。
良い求人がきた時に教えてもらえるので、あなたが転職のために特別時間を割く必要はありませんよ。
看護師3年目。まだまだこれから沢山の経験ができます。
不満があるなら、目標があるなら、今の場所から一歩を踏み出して、より良い道を探しにいって下さいね。
執筆者情報
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